第176章:ただの取引

「誤魔化そうとするな。俺がそこまで馬鹿じゃないことくらい、分かっているだろう」

ジェームズの言葉に、シャーロットは追い詰められた。

口を開きかけたものの、そう言われてしまっては黙り込むしかなかった。

少しの間を置いて、彼女は冷ややかな目でジェームズを見つめた。

「理由なんてないわ。ただ、妻帯者と関わりたくないだけ。ジェームズ、私たちの関係は六年前に終わっているのよ」

ジェームズは眉間の皺を深め、シャーロットをじっと見据えた。

「この前、俺にチャンスをくれると約束したじゃないか」

シャーロットは皮肉げな笑い声を漏らした。

「約束? 私は何も承諾なんてしていないわ。私が言ったチャン...

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